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「こんな人に、私もなりたい」

私には尊敬している人が何人かいます。素晴らしい信仰者がそのほとんどですが、一人全く違うタイプの人がいます。ローソンの店長をしている若いママさんです。
 
私は1階にローソンの店舗がある市営住宅の自治会長をしています。身体、精神共に障がいを持った方が優先入居の市営住宅には、当然障がいを持った方がたくさん住んでいます。
その中には重度の精神疾患で、周りの方に多大な迷惑をかけてしまう人がいるのも事実です。30代男性のAさんもその一人で、辺り構わず怒鳴り散らし、近くにある車は蹴飛ばし、人を目掛けてペットボトルを投げ付けます。Aさんも以前は家族で住んでいたのですが、Aさんの家庭内暴力で大怪我をしたお母さんは二度と戻ってきませんでした。
コンビニにも頻繁に行くのですが、もっぱら万引きをしに行っています。注意をした高校生のアルバイトが「殺すぞ!」と脅されたため、店長はある時から、お店のパンやお菓子を袋にいっぱい詰めて、Aさんの姿が店の入り口に見えたら「差し入れです!」と言って渡すことにされました。するとAさんは「ぁぁ……」と声にならない声でそれを持って帰っていかれるのです。
Aさんを心配した店長は行政にも働きかけますが、血縁関係が無い人の申し出に行政は動いてくれませんでした。実は自治会長である私も申し出たことがありますが、やはり血縁関係が無いという理由で大きな変化は起こせませんでした。
 
そんなことが繰り返されるうちに、別の迷惑行為でAさんは逮捕されました。長く留置はされたものの精神科への入院は必要無しと判断した警察が、前科の付いた彼を家に戻しました。
Aさんはまたコンビニに行きました。店長は「お久しぶりですね、お元気でしたか?」と優しく声をかけました。するとAさんは「ぁぁ……」とまた声にならない声を出し、きちんとお金を支払って食べ物を買って帰っていったのです。そりゃコンビニなのだからお金を払うのが当たり前なのだけれど、私はあまりのことに驚いてしまいました。
30代の男性に大声で脅されたらどれほど怖いことでしょう。殴られそうになったり、ペットボトルを投げ付けられたりしたら? しかし屈するどころか、愛情を送り続けた店長は勝利したのです。愛情は人を変えるのです。それが治療が難しいとされる病から来るものでも。
もちろんこれでハッピーエンドなどという簡単なことではなくて、精神疾患がまた悪化しないとも限りません。Aさんを「加害者」にしないために距離を置いた方がよい日もあります。既に迷惑行為をしてしまった相手もいるので、ただ喜べばいいとも言えません。それでも愛の種は芽を出します。私はただただ怖いと恐れて諦めてきた自分を恥じました。
 
もう一つ別の大きなことも知りました。本郷台駅前で教会を含め大きなイベントがある度にローソンにあるトイレが詰まってしまっていたそうなのですが、店長は私たちに一言の文句も言わず、お掃除をしてくれていました。
なんてことでしょう。神様の愛を知っている私は何をしていたんでしょう?
 
教会には結婚式かお葬式がない限り行くことはないと言う人は多いです。それに対してコンビニは用事もないのに行ってしまう、少なくとも怖くて入れないという人はほとんどいないと思います。精神疾患で周りの人から怖がられ拒絶されていた人ですら、入れてしまう明るい場所なのです。
教会がそんな場所になれたなら、そしてそこにいる者として、「とりあえず寄っておしゃべりしてみようかな」、そんな風に思われる人に私はなりたいと思う今日この頃です。

(k.h.)

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