お知らせ
2025年5月11日 History Maker 〜歴史をつくる人〜
2025年5月11日 合同礼拝「History Maker 〜歴史をつくる人〜」
マタイの福音書 4章17節 池田恵賜 主任牧師
今日は合同礼拝です。
キリストのからだである私たちが、このように一堂に会して礼拝をささげることができるのは、喜びであり、とても意味のあることです。
今日の合同礼拝がキリストのからだの各器官として、弱っているところ、傷ついているところがないか、お互いのことを気にかけたり、祈り合ったりするときとなればと願っています。
またキリストのからだとして、一つとなって神のみこころを聞き、教会として一歩踏み出すときとなるようにも願っています。
さて、この合同礼拝のテーマは「御国の価値観に生きる」です。
まずメッセージに先立って5分ほどの証しのビデオを見ていただきたいと思います。
証しを語ってくれているのは、スポーツミニストリーの関わりで、私たちの教会に何度も来ているみのり君という青年です。彼が地元、福岡でスケボーミニストリーを通して出会った中学生とその家族に、どのように福音を伝えているかを証ししてくれています。ご覧ください。
今日のメッセージタイトルは「History Maker(歴史を作る人)」です。
イエス・キリストは偉大なHistory Makerです。その生き方を通して歴史を変えたお方です。そして、私たちクリスチャンはキリストに従う者です。
「歴史を作る人」というと、なにか大きなことを成し遂げた人や、人々の生活を変えるような発明、発見をした人のことを考えるかもしれません。しかし、今日お話ししたいのは、そのような偉人や有名人のことではなく、「いまここにいる私たち一人ひとりが歴史を作る人なのだ」ということです。
私たち一人ひとりがHistory Makerになることによって、神の祝福が広がっていくのです。
私が?歴史を作る人?
「そんなの無理」とか「不可能」なんて思わないでください。
今日は3つのステップを通して私たちもHistory Makerとなれることを見ていきましょう。
ステップ1「神の国の価値観に生きる決心をする」
History Makerとしての1歩目は「神の国の価値観に生きる決心をする」ことです。
人はそれぞれ自分の価値観に従って行動しています。
価値観は、その人の育ってきた環境や出会った人々によって変わってくるものですが、クリスチャンにとって何よりも大切なのは神の国の価値観です。
聖書は「この世の価値観と神の国の価値観は違う」と教えます。
みなさんは、普段、この世の価値観によって行動しているでしょうか。
それとも、神の国の価値観を意識して行動しているでしょうか。
自分が普段「なにを基準に行動しているか」を考えることは、とても大切です。
私は「神様サイズの夢を語ろう」の本の中で、この世の価値観と神の国の価値観の違いを具体的に次のようにリストアップしました。
読み上げますので、自分の行動が、どちらの価値観に近いか考えてみてください。
世の中は「自分の力で何とかしなければいけない」というが、
聖書は「神の力に頼りなさい」という。
世の中は「弱さを見せたらいけない」というが、
聖書は「自分の弱さを認めた時からスタート」という。
世の中は「死んだら終わり」というが、
聖書は「死は終わりではない」という。
世の中は「人は偶然に存在している」というが、
聖書は「神が目的を持って造られた」という。
世の中は「自分の価値を高めろ」というが、
聖書は「そのままで価値がある」という。
世の中は「幸せは持っているもので決まる」というが、
聖書は「心の貧しいものは幸いだ」という。
世の中は「やられたらやり返せ」というが、
聖書は「あなたの敵を愛しなさい」という。
世の中は「多少のことは我慢しなさい」というが、
聖書は「すべてを感謝しなさい」という。
世の中では「自分がされて嫌なことはするな」というが、
聖書は「自分にしてもらいたいことを他人にしなさい」という。
世の中では「明日のために備えなさい」というが、
聖書は「明日の心配はするな」という。
世の中では「分け与えると減る」と考えるが、
聖書は「分け与えると広がり、豊かになる」と教える。
世の中では「愛されることを求める」が、
聖書では「愛は与えることだ」と教える。
いかがでしょう。
このように比べてみると、この世の価値観と神の国の価値観の違いが分かります。
私たちは、普段どちらかの価値観の影響を受けて行動しているのです。
History Makerとしての第一歩は、世の価値観との違いを認識し、「神の国の価値観に生きる」決心をすることです。
私たちはどのような価値観に基づいて自分の人生を築き上げるのか決断しなければいけません。あなたはどちらの価値観に基づいて生きたいと願うでしょうか。
ステップ2「悔い改める」
次にHistory Makerとしての2歩目は「悔い改める」ことです。
イエス様は宣教を始められたとき、このように言われました。マタイ4:17です。
“この時からイエスは宣教を開始し、「悔い改めなさい。天の御国が近づいたから」と言われた。”マタイ4:17
「悔い改めなさい」。これが、イエス様が宣教を始められたときの第一声でした。
神のひとり子であるイエス様が宣教を始められたことによって「天の御国が近づいた」のです。
これは、イエス様によって「この地に神のみこころがなされるようになり、神の国が来た」ということです。
そのときイエス様が「悔い改めなさい」と語られたのは、つまり「人は悔い改めていない状態では、神の国に入ることはできない」ということを明らかにしています。
イエス様がそうであったように、神の国の者が「神の国の価値観に生きることができる」のです。つまり、私たちが神の国の価値観に生きるためには、悔い改めて、神の国の者となる必要があるのです。聖書でいう「悔い改め」とは、向きを変えることです。
神と人がお互いに向きあえているときは、何の問題もありませんでした。
しかし、人は神に背を向けたのです。
神よりも自分の願いを優先させ、神に背き、自分勝手に生きるようになったのです。
「的外れ」、これが聖書でいう罪です。神に背を向け、自分勝手に的外れな人生を生きる、これが罪の本質です。ここから私たちに罪が入り、私たちの人生や様々な人間関係に歪みが生じてくるのです。
そのような生き方から「方向転換して、神に向かって生き直すこと」、これが悔い改めです。私たちは神の国に入るため、これまで神を無視して歩んできた罪を神の前に悔い改める必要があります。
悔い改めることは人生の判断基準を変えること
さて、神に向かって方向転換して生きるというのは、「人生の判断基準を変える」ということです。
人はそれぞれ自分の価値観に従って生きています。
神の国の価値観に生きるとは、その判断基準を変えるということです。
つまり、みことばを読み、神の心を理解し、神の良しとされることを良しとして、神が「No」とされることには「No」と言うのです。
それは、あなたの自由を縛るように思えるかもしれません。しかし、神の国の価値観は決してあなたを縛るものではありません。むしろ、神の国の価値観に従わない生き方こそ、あなたを縛っているのです。
あるとき、イエス様はたとえ話で、「汚れた霊が出て行った人が、そのままの状態でいると、出ていった悪霊が、自分よりも悪い7つの霊を連れて戻ってくる」という話しをされました。
これは、悔い改めた私たちが「そのまま空っぽの心の状態でいたら、元の悪い生活スタイルに戻ってしまう可能性がある」ことを示唆しています。
ですから、この世の価値観に生きてきた古い自分を明け渡したら、次に私たちは聖霊を心にお迎えする必要があります。
そして、聖霊によって、日々、神の国の価値観で生きるために必要な判断力や決断力、実行力を与えていただくのです。あなたが「神の国の価値観によって生きる」と決心し、祈り求めるなら、聖霊なる神様はあなたを助けてくださいます。
神の国の価値観に生きるために、私たちは「悔い改めて、心に聖霊をお迎えする」必要があるのです。
これがHistory Makerとしての2歩目です。
ステップ3「ともされた光を輝かせる」
そして、History Makerとしての3歩目は「神様が灯してくださった光を輝かせる」ことです。イエス様はマタイ5:14-16で、このように語っています。
“あなたがたは世の光です。山の上にある町は隠れることができません。また、明かりをともして升の下に置いたりはしません。燭台の上に置きます。そうすれば、家にいるすべての人を照らします。このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようになるためです。”マタイ5:14-16
悔い改めて心に聖霊を迎えた私たちに、神様は光を灯してくださいました。
その明かりをどこに置くかは、私たちの自由意思に委ねられています。
神のみこころは、私たちが明かりを人々の前で輝かせ、神の栄光を現すことです。
それは、なにか大きなことを成し遂げるとか、大勢の人の前に出てなにかするということに限りません。喜んで陰で仕えることを通して光を輝かせる人もいます。
なんにせよ、古い自分を明け渡して、神の国の価値観に従って生きる人は輝くのです。
違和感こそチャンス
神のみこころに生きるようになった私たちは、この世の価値観がまかり通っているところに違和感を覚え、心が痛むようになります。
神のみこころがなされずに傷ついている人がいるところでは、神の心も痛んでいるからです。
そのギャップに気づいたときこそ、私たちに灯された光を輝かせるときです。
まず、とりなして祈り、聖霊によってどう行動したらよいか知恵をいただきましょう。
はじめに見ていただいた動画は、私たちが「どのように神の国の価値観を広げられるか」の知恵を与えてくれます。
みのり君は、神の国の価値観をまだ救われていない中学生とその親に共有しようとしました。ちょうど彼の誕生日が近かったので、誕生日をお祝いしてあげようと、その子のお母さんに協力してもらい、仕事を終えたみのり君は彼に電話をしました。
電話越しにハッピーバースデーを歌い、「おめでとう」と伝え、それから彼の存在がどれほど自分にとって祝福となっているかを伝えました。
そして、その場にいてもらったお父さんとお母さんにも、「息子さんへの感謝を伝えてください」と言って、同じようにしてもらったそうです。
これまで面と向かって子どもの存在を喜び、その感謝を伝えることをしたことのなかったご両親でしたが、みのり君の例に倣って伝えました。
そうしたら、その場がこれまで経験したことのない良い雰囲気になったそうです。
そのことに感動したご両親は、「この良い習慣をこれからも続けていきたい」と言ってくれたとのことです。まさに、神の国の価値観が共有され、広がった瞬間です。
この証しを聞いた後に、私はみのり君と個人的に話しました。
そのとき、彼はマタイ28章を引用してこう言いました。「イエス様は、大宣教命令で洗礼を授けたり、教えたりする前に『弟子としなさい』と命じられました。それに従っただけです」と。
「弟子訓練は信仰決心の前からできる」と言った彼の言葉を聞いて、私は目からうろこが落ちたように思いました。
今まで自分は、「まず信仰決心に導いて、学びをしてから、洗礼決心に導き、それから弟子訓練をしなければいけない」と勝手に思い込んでいたからです。
そして、改めてマタイ28:18-20を読みました。
“イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。父、子、聖霊の名において彼らにバプテスマを授け、わたしがあなたがたに命じておいた、すべてのことを守るように教えなさい。見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます。」”マタイ28:18-20
確かにそうです。弟子とは、師の生き方に倣う人たちです。
「このような人になりたい」、「このような習慣を私も身につけたい」と思わせるような生き方を私たちができているなら、すでに弟子訓練は始まっているのです。
私たちが神の国の価値観に生き、その喜び、祝福をもって人々と接するなら、人々に伝わるのです。「神がどんなに私を愛しているのか」、「私は神にどんなに祝福された存在なのか」、まず私たちが受け取って、その価値観に生きることによって、人々を祝福することができるのです。
「私が愛されているように、あなたも今日、神に愛されています」と、日々、神の国の価値観を隣人に手渡していく者となりましょう。
私たちが「福音を伝える」というとき、それは福音を単なる「知識」として伝えるのではなく、まず私たち自身が福音に生き、神の国の価値観をライフスタイルとして身につけて、伝えることが大切です。
神の国の価値観に生きる人こそ、歴史を作る人です。
最後に一人の人物を紹介して、今日のメッセージを閉じたいと思います。
その人物の名前はウィリアム・ウィルバーフォースといいます。

彼は19世紀初頭にイギリスで、奴隷制度を撤廃させた国会議員です。ジョン・ニュートンと、ニュートンの作詞した「Amazing Grace」に影響を受け、献身まで考えた彼は、結果的に神の導きによって国会議員としての働きを続け、生涯、奴隷制度撤廃のために戦いました。
初めに奴隷制度撤廃の法案を提出してから実に16年、彼の法案は何度も否決され続けました。当時、奴隷たちの労働力によって莫大な財産を築いていた貴族たちの中には国会議員も多くいました。また、社会全体の仕組みが「奴隷制度ありき」で成り立っていたこともあり、議会のほとんどは奴隷制度賛成派の者たちでした。
ウィルバーフォースは、国家転覆をたくらむ非国民のような扱いを受けた時期もありました。しかし、彼は奴隷制度撤廃の信念を曲げずに貫いたのです。
そこまで彼を強く動かしたのは「神は人を平等に造られた」という神の国の価値観です。
そして1807年、ウィルバーフォースはついに、奴隷貿易廃止法案を成立させました。
彼もまた、神の国の価値観に従って生きた人でした。
私たちも、私たちの周りの神のみこころが行われていない状況や、この世の価値観で傷つき倒れている人たちに目を向け、神の国の価値観を実践していきたいと思います。
私たちが、神によって灯された光を置かれた場所で輝かせるなら、神の国の価値観は人々を包み、癒やしていきます。そして、人々は光を灯してくださった神様を崇めるようになるのです。
神の国の価値観に生き、その光を輝かせる人こそ「History Maker」です。
本郷台キリスト教会に連なる一人ひとりが、神の国の価値観に生きる者となり、この町のいたるところで、神の灯してくださった光が輝き、主の御名が崇められるようになることを願います。
お祈りいたします。